小説で読む国際協力①「風に立つライオン」〜戦地医療で国際協力〜

 

こんにちは!コウイチローです。

 

 今回は、「小説で読む国際協力」シリーズの第1段で、私が何度も繰り返し読んだ「風に立つライオン」を紹介します。歌手として有名なさだまさしさんが自身の楽曲を基にして書いた作品です。また、大沢たかおさん主演で映画化もされています。

あらすじ

 この小説は、大きく分けて2部構成になっています。第1部は「日本人医師・島田航一郎 ケニア偏」、第2部は「ケニアの少年・ンドゥング 被災地石巻偏」です。映画は主に第1部のみで構成されています。

 物語の主人公である日本人外科医の島田航一郎は、1987年に長崎大学の病院からケニア・ナクールにある長崎大学の熱帯医学研究所に派遣され、研究だけではなく地域医療にも取り組みます。隣国スーダン(現:南スーダン)では内戦が続いており、国境近くのロキチョキオには赤十字国際委員会(ICRC)がスーダン内戦犠牲者救済のために戦傷外科病院をつくっています。航一郎はそこに応援に出かけ、心に傷を負った元少年兵(ンドゥング)と出会い、少年と真正面から向き合いぶつかり合うことで、少しずつ交流を深めていきます。銃や地雷で負傷した人々が次々に運び込まれてくる過酷な医療現場で、彼自身も医療従事者としてあるべき姿を模索します。

 戦地でもがき苦しみながら懸命かつ前向きに生きる航一郎はどうなってしまうのか、人を殺したことで心に深い傷を負った元少年兵のンドゥングはなぜ2011年、津波で被災した東北にいるのか。涙なしでは読めない内容です。

 また、この物語はフィクションですが、主人公の島田航一郎にはモデルが存在します。外科医である柴田紘一郎氏です。彼は、1966年に始まったJICAと長崎大学によるケニアへの支援に専門家として派遣された医師の一人です。
JICAのHPでも紹介されています。
https://www.jica.go.jp/topics/2016/160520.html

 

見どころ

 

ここからは、本作を通して、特に見て欲しい、感じて欲しい内容について書いていきたいと思います。

 

戦地での医療について

 戦地における医療機関の凄まじい多忙さや、業務範囲の広さ、衛生環境の劣悪さ、人員不足の深刻さなどが、分かりやすく描かれており、専門知識がなくとも読める内容になっています。日本の場合は看護師には許されていない医療行為を、航一郎が看護師の草野和歌子に指示するシーンは、自分だったらどう行動するか考えさせられました。

 ちなみに、医療の国際協力といえば、有名どころでは「国境なき医師団(MSF)」がありますが、もちろん南スーダンでの医療援助を行っております。元・少年兵が地域社会に復帰するための支援も行っているそうです。
https://www.msf.or.jp/news/south_sudan.html

 南スーダンに派遣されたMSFスタッフのレポートも複数あり、現地医療が抱える課題の多さと、そこで働くことで得られる経験が掲載されています。
https://www.msf.or.jp/team_msf/expats/world/south_sudan.html

 また国際協力機構(JICA)は、2009年から2012年にかけて、南スーダンで大きく不足する現地の医療保健に関わる人材育成(キャパシティビルディング)を行っています。こちらはより上流(政策サイド)からの支援です。
https://www.jica.go.jp/project/south_sudan/0800797/outline/index.html

仕事を通した、人から人への志のバトン

 私は、仕事を通して「現地人の認識と行動が変わる」ことが、国際協力のやり甲斐のひとつだと感じています。例えば、旧来の生産方法で農業を行っている農村部の貧困層に対して、適切な水や土壌の管理に関する技術協力を実施することで、人々が正しい知識を得て管理体制を構築し、持続可能な農業への道が開ける等です。

 また私は、懸命に仕事に取り組んでいれば、自分の人生でもし目的が達成できなかったとしても、自分の志に感化された周囲の人間が、自分の志を継いでくれるのでないかと思っています。そうして、自分だけで終わるのではなく、次世代まで続くダイナニズムを巻き起こすことができたら嬉しい限りです。自分自身もまた、志ある先人が築き上げてきたバトンを受け取って仕事をしているつもりです。そのような有機的な人と人との繋がりが丁寧に描かれた作品だと思います。

罪を償うということ

 少年ンドゥングは、大人のエゴで少年兵にされ、人を殺したことで心に傷を負います。苦しむンドゥングに、航一郎は自らの犯した罪を償うとはどういうことか諭します。それは、過去は変えられないという事実を突きつけつつ、それでも人は前を向いて歩いていかなければならないことを伝える素晴らしい言葉でした。ここでその言葉を書きたい気持ちもありますが、是非、皆さんにも同じ感動を味わって欲しいので、是非本編をご覧ください。

自らを鼓舞する

 難題に立ち向かう時、人の心は何度も挫けそうになり、時には負けてしまうこともあります。そんな時、自らを鼓舞する方法を皆さんはお持ちでしょうか。何か1つ、その方法を持っていることで踏ん張れることもあります。航一郎は、挫けそうになった時、あることをして、自分を奮い立たせます。私自身、仕事で挫折しそうな時に航一郎の真似をすることで乗り切ったことがあります。

安全管理の大切さ

 途上国で仕事をする場合、国によって差はあるものの、日本よりも命を落とすリスクは高まります。特に戦地であれば、そのリスクは跳ね上がります。万全の安全対策と、安全管理の意識を常に忘れてはいけません。長く仕事を続けていると安全管理が疎かになりがちですが、その重要性を再認識させられます。

最後に

 

難しい書籍もとても勉強になりますが、ドラマや小説は登場人物への感情移入がしやすく、何かに興味を持ったり、何かを始める入り口としてすごくいいなあと感じます。

 

 「風に立つライオン」について、ネタバレしないように紹介してみましたが、いかがでしたか。

 さだまさしさんは実際に当時のケニアやスーダンを訪れた訳ではないので、当時のケニアの様子などをご存知の方には、違和感がある描写もあるそうですが、ご興味のある方は是非、ご一読いただけると嬉しいです。

 また、主人公と同じような仕事に就きたいと思った方は以下の記事も参考に、国際協力業界でのキャリア構築も検討頂けたら嬉しいです。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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