【4分で読める】貧困はなぜ起こるのか?マルサスの罠をわかりやすく解説!PART3~マルサスの罠から脱却するには~

 こんにちは!コウイチローです!

 この記事はマルサスの罠(人口の落とし穴)について解説する全3回の最終回です。今回はマルサスの罠から脱却する方法について、簡単に分かりやすく解説していきます。

※(第1回)「マルサスの罠の概要と背景」、(第2回)「マルサスの罠のメカニズム(理論)」について解説した記事はこちら。

 

(復習)マルサスの罠とは?

人口が増えるとそれだけ食糧が必要になるが、人口の増加量ほどに食糧の生産量は増えない。

しかし、生きていくための最低限の食糧が確保できる限り、人口は増加していく。

その結果、人口が一定数に達すると、生きていくためのギリギリの量しか食糧を確保できなくなり、人口も生活水準も向上しなくなって社会の成長が止まる。

マルサスの罠は、絶対的な理論なのか?

 マルサスの罠は、現代でも途上国、特に低開発の国で実際に起きています。しかし、マルサスの罠が絶対的な存在ならば、日本をはじめとする先進国は生まれてないですし、先進国になりつつある途上国も存在しないはずですよね?つまりこの罠には問題点があり、「抜け道」が存在するのです。

先進国はどのようにマルサスの罠から脱出したか

 マルサスの罠からの脱却は、各国の文化などの事情が絡むため「OOすれば脱却できる」とは一概に言えません。しかし、先進国がマルサスの罠から抜け出した経緯には共通点があります。それに着目して解説します。

理由①:人口が無尽蔵に増えなかった

 マルサスの罠では、「食べるものがあれば、人口はどこまでも増える」という考え方が土台となっています。しかし、日本をはじめ、今の先進国で人口は増え続けているでしょうか?違いますよね。むしろ少子化が進み、人口減少が問題視されています。大金持ちになって、いくらでも食糧が買えるからといって、子供を100人、200人持つわけではないのです。

 人口は一旦大きく増加しますが、その後は増加が緩やかになり、最終的には減少する傾向を持つことが分かっています。これを「人口転換」といいます。これについては、別の記事で解説したいと思います。人口が無尽蔵に増え続けなければ、1人当りの収穫量もあがり、その国はマルサスの罠(生存維持的水準)を抜け出し、発展するチャンスを得ます。

理由②:農業の土地生産性が向上した

 マルサスの理論では「農地は限られており、また農地あたりの収穫量(単収)に変化はない」という前提があります。この条件では、人口が増えて1人あたりの農地が少なくなると、1人あたりの収穫量も当然減ります。

 しかし人間は「限られた土地で、収穫量を増やす方法はないだろうか」と考えました。そして、栄養豊富な肥料を作ったり、品種改良をして病気に強く収穫量の多い品種を生み出したりしました。結果として、単位面積あたりの収穫量は大きく向上したのです。これが、ヨーロッパや日本で起こった「農業革命」であり、その後にアジアで起こった「緑の革命 (Green Revolution)」です。

 人口は増えずに収穫量が増えると、1人あたりの収穫量はどんどん増加します。つまり上記の理由①②をまとめると、以下のようになります。

(図1)マルサスの罠を脱出する仕組み

まとめ

 マルサスの罠について全3回で解説しましたが、いかがでしたか?貧困が起こるメカニズムをご理解いただけたら幸いです。最後に、マルサスの罠の内容を再度確認しましょう。

人口が増えるとそれだけ食糧が必要になるが、人口の増加量ほどに食糧の生産量は増えない。

しかし、生きていくための最低限の食糧が確保できる限り、人口は増加していく。

その結果、人口が一定数に達すると、生きていくためのギリギリの量しか食糧を確保できなくなり、人口も生活水準も向上しなくなって社会の成長が止まる。

※(第1回)「マルサスの罠の概要と背景」、(第2回)「マルサスの罠のメカニズム(理論)」について解説した記事はこちら。

 

オススメ書籍のご紹介

 最後に、マルサスの罠・人口論について「もっと勉強したい!」という方にオススメの書籍を紹介します。筆者が実際に読んでみた中で、できるだけ分かりやすく読みやすい本を選びました。

(1)充実した内容かつ、読みやすい翻訳

 1冊目はこちら。

 

 この1冊を読めば、人口論の基本的な部分は全て押さえることができると言えるほど内容が充実しています。その分、読むのが大変に感じる方もいるかもしれませんが、翻訳がめちゃくちゃ綺麗で分かりやすいです。しっかり勉強したい人には是非ともお勧めしたい1冊です。

(2)まずは漫画で!

 2冊目はこちら。

 

 「いきなり専門書はちょっと、、、」という方のために、なんと漫画で読める人口論もありました。ネズミになったマルサス先生が、分かりやすく解説してくれます。漫画なので、中高生から大人まで楽しくスラスラと読める内容になっています。しかも、内容は本格的な経済学書です。全ての概念を網羅しているわけではないかもしれませんが、取っ掛かりとして最適な1冊といえるでしょう!

(3)開発経済学の超入門編

 3冊目はこちら。

 

 人口論に特化した内容ではありませんが、「マルサスの罠」「人口転換」などを含んだ開発経済学の超入門書です。より幅広く開発経済学を勉強したい方にはオススメです。日本の開発経済学の権威的存在である渡辺利夫先生の書籍です。少し古い本ではありますが、一読の価値ありです。予備知識がなくてもスラスラと読みやすい文章ですが、内容は充実していて知的好奇心を刺激してくれます。まさに超入門編として、オススメの1冊です。内容は、その他に「産業構造の転換(緑の革命、インダストリアリズムなど)」など一般的な開発経済学の基本を押さえつつ「日本のODAの特徴」の他、渡辺先生の専門分野であるアジアに特化して書かれた章もあります。

 最後までお読みいただきありがとうございました!

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