【5分で読める】貧困はなぜ起こるのか?マルサスの罠を分かりやすく解説!PART2~理論のメカニズム~

 こんにちは!コーイチロウです!

 この記事は「マルサスの罠(人口の落とし穴)」について解説する全3回の第2回目です。今回はマルサスの罠のメカニズム(理論)について、分かりやすく解説していきます。

※(第1回)「マルサスの罠の概要と背景」、(第3回)「マルサスの罠からの脱却」について解説した記事はこちら。

 

(前回の復習)マルサスの罠とは?

人口が増えるとそれだけ食糧が必要になるが、人口の増加量ほどに食糧の生産量は増えない。

しかし、生きていくための最低限の食糧が確保できる限り、人口は増加していく。

その結果、人口が一定数に達すると、生きていくためのギリギリの量しか食糧を確保できなくなり、人口も生活水準も向上しなくなって社会の成長が止まる。

マルサスの罠のメカニズム

(1)前提条件:人口と収穫量の関係

 マルサスの罠には「農地にできる土地が限られている」という前提があります。この場合「人口が増えれば農地を増やせばいいじゃん!」という声が上がりそうですが、そもそも国土は限られていますし、農地に適した土地だとさらに限られています。そのため、農地が一定量しか確保できないという前提は成り立つと考えられています。

(2)人口と収穫量の関係

 農地が限られている前提で話を進めます。例えば、ある国には1ヘクタール(10,000m2)の土地があって、1人で耕しているとします。1人だと作業が大変ですね。全部の土地を耕すのは無理かもしれません。そこにもう1人が来て一緒に作業をします。すると以下のようになります。

(図1)労働力が1人から2人へ

 人口が2人になるので、食糧も2倍必要です、これなら2人で2倍の量を生産できそうですね。では、10人になったらどうでしょう。

(図2)労働力が2人から10人へ

 人口が最初の10倍になったため、10倍の食糧を生産できるはずですが、、、厳しい感じがしますよね?一人が耕す土地面積が狭いので、本当はもっと農作業ができるはずなのに、できないのです。

 するとどうなるか。一人当たりの食糧が減ります。この段階では少し減った程度ですので生き続けることはできます。では、これが20人、30人になるとどうでしょう?

(図3)労働力が10人から20人、30人へ

 一見すると考えにくい状態ですが、現実に色々な国で起きていることなのです。こうなると、全員が自分の能力を発揮することはできず、1人増えても総収穫量はほとんど増えないことが想像できますね。当然、人が増えるほど1人当たりの食糧はどんどん減っていきます。

 この人口増加はどこまで続くのでしょうか。それは、各人が生存できるギリギリの食糧(生存維持的水準といいます)しか得られなくなった時までです。では、それはいつでしょうか?

(3)生存維持的水準に達するタイミング

 ここまでの説明で、人口が増えるほど、食糧生産量の増加する割合が下がっていくことがお分かりいただけたかと思います。これをグラフで表すと以下のようになります。

(図4)労働力(人口)と収穫量(生産量)の関係

 農業において労働力(人口)が増えても収穫量がそれほど増えず、労働力を投入するほど収穫量の増加量がより少なくなることを、収量逓減法則と言います。

 一方で全員が生存維持的水準で生きていくと仮定した時に、必要な収穫量を表すと、以下のようになります。全員が同じ収穫量を必要とするので、比例のグラフになります。

(図5)生存維持的水準で生活する場合に必要な収穫量

 では、次に図4と図5を合体させるとこのようになります。

(図6) 図4 + 図5

 この図6は以下について表しています。

  1. 青い線がオレンジ色の線より下の収穫量だと、人は生きていけず人口は増えない。
  2. 青い線がオレンジ色の線より上の収穫量だと、収穫量に余裕があるため人口が増える。

 つまり図6において、人口は点Pまで増えた後、点Pから動けなくなるのです。点Pよりも人口が増えれば、各人の食糧が生存維持的水準を下回り、餓死で人が減って点Pに戻ります。点Pよりも人口が減れば、収穫量に余裕ができ人口が増えて点Pに戻ります。どう頑張っても点Pから脱出できなくなります。生きられるっていっても最低限の食糧しかないわけですから、生きるだけで精一杯。発展するのは大変難しいでしょうね。

まとめ

 マルサスの罠のメカニズムは以上です。ここで最初に説明したマルサスの罠とは?を再掲します。

人口が増えるとそれだけ食糧が必要になるが、人口の増加量ほどに食糧の生産量は増えない。

しかし、生きていくための最低限の食糧が確保できる限り、人口は増加していく。

その結果、人口が一定数に達すると、生きていくためのギリギリの量しか食糧を確保できなくなり、人口も生活水準も向上しなくなって社会の成長が止まる。

 冒頭で読んだ時よりも、理解を深めていただいていたら幸いです。

 最後までお読みいただきありがとうございました!次回は、「マルクスの罠には脱却する方法は存在するのか?」について解説しましたので、是非お読みいただけたら幸いです。

※(続き・第3回)マルサスの罠からの脱却について解説した記事はこちら

 

※(第1回)マルサスの罠の概要と背景について解説した記事はこちら

 

オススメ書籍のご紹介

 最後に、マルサスの罠・人口論について「もっと勉強したい!」という方にオススメの書籍を紹介します。筆者が実際に読んでみた中で、できるだけ分かりやすく読みやすい本を選びました。

(1)充実した内容かつ、読みやすい翻訳

1冊目はこちら。

 

 この1冊を読めば、人口論の基本的な部分は全て押さえることができると言えるほど内容が充実しています。その分、読むのが大変に感じる方もいるかもしれませんが、翻訳がめちゃくちゃ綺麗で分かりやすいです。しっかり勉強したい人には是非ともお勧めしたい1冊です。

(2)まずは漫画で!

 2冊目はこちら。

 

 「いきなり専門書はちょっと、、、」という方のために、なんと漫画で読める人口論もありました。ネズミになったマルサス先生が、分かりやすく解説してくれます。漫画なので、中高生から大人まで楽しくスラスラと読める内容になっています。しかも、内容は本格的な経済学書です。全ての概念を網羅しているわけではないかもしれませんが、取っ掛かりとして最適な1冊といえるでしょう!

(3)開発経済学の超入門編

3冊目はこちら。

 

 人口論に特化した内容ではありませんが、「マルサスの罠」「人口転換」などを含んだ開発経済学の超入門書です。より幅広く開発経済学を勉強したい方にはオススメです。日本の開発経済学の権威的存在である渡辺利夫先生の書籍です。少し古い本ではありますが、一読の価値ありです。予備知識がなくてもスラスラと読みやすい文章ですが、内容は充実していて知的好奇心を刺激してくれます。まさに超入門編として、オススメの1冊です。内容は、その他に「産業構造の転換(緑の革命、インダストリアリズムなど)」など一般的な開発経済学の基本を押さえつつ「日本のODAの特徴」の他、渡辺先生の専門分野であるアジアに特化して書かれた章もあります。

 最後までお読みいただきありがとうございました!

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