【5分で読める】気候変動枠組条約(UNFCCC)とは?わかりやすく解説します

 こんにちは!コウイチローです!

 この記事では国連気候変動枠組条約(以下、気候変動枠組条約)についてわかりやすく解説していきます。

そもそも気候変動枠組条約とは?

 気候変動枠組条約を簡単に説明すると以下のようになります。

世界各国の温室効果ガスの排出量削減により、地球温暖化の進行を防ぐための条約

 全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)では気候変動枠組み条約を以下のように説明されています。

 大気中の温室効果ガスの濃度の安定化を究極的な目的とし、地球温暖化がもたらすさまざまな悪影響を防止するための国際的な枠組みを定めた条約で、1994年3月に発効しました。温室効果ガスの排出・吸収の目録、温暖化対策の国別計画の策定等を締約国の義務としています。(引用元: JCCCA

 気候変動とは、「地球温暖化が進行することによって起こりうる気候の変動」を指します。例えば、気温の上昇により海水の蒸発量が増えて大型の台風やハリケーンが増えたり巨大化(激甚化とも言います)などの悪影響が挙げられます。

 気候変動枠組み条約の基本情報は下記のとおりです。

日本語での正式名称

気候変動に関する国際連合枠組条約

英語での正式名称

United Nations Framework Convention on Climate Change (略称:UNFCCC)

採択された時期

19926

採択された会議

環境と開発に関する国際連合会議(通称:地球サミット)(開催地:ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ)

締結国

197ヵ国・地域(20184月現在)

気候変動枠組条約が立ち上げられた目的

 地球温暖化の進行には、大気中の温室効果ガス(GHG: Green House Gas)の濃度上昇が関係していると言われています。温室効果ガスには、主に二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)、フルオロカーボン等の代替フロンなどの種類があります。温室効果ガスの削減には①ガスの排出量の削減だけでなく、②ガスの吸収量の増加の2点が重要です。ガスの吸収量とは、例えば植林をすると木がCO2を吸収し、大気中のCO2が減少するなど、ガスの吸収による削減のことです。

 気候変動枠組条約は、地球温暖化の進行を防ぐことを目的としていると書きましたが、地球温暖化と温室効果ガスの関係からこのように言えます。

気候変動枠組条約の目的 =地球温暖化の進行を防ぐ = 温室効果ガスの濃度を上げないようにする(安定化させる)

気候変動枠組条約の内容

 気候変動枠組条約の主な内容は、以下の6つです。

(1)「締結国の共通だが、差異のある責任」原則

 今日の温室効果ガス濃度上昇の責任は、そのほとんどが先進国にあるという理由から、途上国の削減負担を比較的軽くして経済発展を阻害しないようにするために設けられた原則です。これは先進国も途上国も平等に温室効果ガスの削減に努めることが、本当の意味で平等ではないという考え方を基本にしています。なぜなら全世界の温室効果ガス排出量の約6割は先進国の上位5ヵ国から排出されているからです。「先進国も途上国も平等に排出量を削減しよう」という方向性では、途上国からの反発を買うことは火を見るよりも明らか。途上国の事情やを考慮することで、途上国も締結国に含めることができたわけです。

(2)全締結国の義務(途上国を含む)

 全ての締結国が温室効果ガスの排出量と吸収量を調べて資料を作成し、COP (締結国会議)に提出するモニタリングの義務があります。先進国と途上国で義務に差異はありません。

(3)先進国の義務(途上国は含まない)

 先程(1)でも触れましたが、先進国の負う義務は途上国よりも重たいです。例えば、先進国にのみ削減目標として、2000年までに1990年の排出量の水準に戻すことが努力目標として定められています。

(4)気候変動に伴う悪影響への対応

 悪影響への対応を「適応(Adoptation)」といいます。気候変動は社会に様々な影響を与えます。例えば、気候変動によって農業の収穫量に影響を及ぼすことが考えられます。それぞれの野菜や果物には生育に適した気温があるためです。またハリケーンなどが増え、人命や建物などに大きな被害をもたらすことも考えられます。このような悪影響が発生した際に、本条約に基づいて必要な行動を検討します。

(5)京都メカニズム

 日本以外の他国で、排出量の削減プロジェクトの実施して、その国の排出量削減量に貢献した場合、排出削減量の一部をクレジットとして取得し、日本国の削減量として算入できる制度を指します。日本が京都議定書で約束した削減量を達成する際にも利用されています。京都メカニズムには、共同実施(JI)、排出権取引(ET)、CDMの3種類があります。

(6)途上国を支援するための資金メカニズム

 資金メカニズムとは、先進国から途上国に資金が流れる仕組みのことです。途上国の多くは予算繰りに苦労しており、途上国の温暖化対策を資金面で援助していく必要があります。資金メカニズムとして、地球環境ファシリティズ(GEF)が指定されています。援助資金は基本的に無償(返済義務なし)です。

気候変動枠組条約締結後の動向

 京都議定書は、第一約束期間(2008-2012)が終了した後に、第二約束期間(2013-2020)が設定されましたが、京都議定書の効果について疑問視する声も多く、必要な受諾国数を確保できず、発効に至っていません。

 現在、世界はパリ協定の基で気候変動対策に取組む姿勢を見せており、COPの状況を知ることで、世界の気候変動対策の「今」を確認できます。

 

まとめ

 この記事では下記のことを説明しました。

  1. 気候変動枠組条約とは、地球温暖化の進行を防ぐための条約
  2. 気候変動枠組条約の目的 は 温室効果ガスの濃度を上げないようにする (安定化させる)こと
  3. 気候変動条約では到達目標が先進国と途上国で差別化される等、目的達成のための枠組が規定されている。

 ちなみに、この記事を書いた時点での地球環境ファシリティズ(GEF)のCEO(統括管理責任者)は日本人の石井菜穂子さんです!国際機関で輝く日本人の一人です!

 この記事を通じて気候変動枠組条約について、少しでも理解が深まれば幸いです。

 最後までお読みいただきありがとうございました!

 

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