こんにちは!コウイチローです!
この記事では、ODA(政府開発援助)の内、国際機関が行う多国間援助のメリットについて説明します。
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(復習)多国間援助とは?
以前の記事で、多国間援助ではいくつかの国の政府が国際機関にお金を出し合い、国際機関がそのお金を使って援助活動をすると説明しました。
多国間援助の5つのメリット
(1)援助する国の経済的・政治的な思惑の影響を受けにくい
二国間援助の場合は、援助する国の利益(裨益効果)が重視されることがあります(*1)。国際会議で日本国の意見に賛成して欲しいという政治的な意図や、日本製の車両を援助することで、その素晴らしさを知ってもらい、援助を受ける国でのシェアを拡大したいという経済的な意図が挙げられます。
こうした援助する国の意図が強まってしまった場合、援助を受ける国のニーズが反映されず、あまり援助を受ける国のためにならないケースもありえますよね。国際機関は、そのようなしがらみが少ない(政治的に中立といいます)ので、真に途上国のニーズを解決することに集中できます。
(2)援助が届きにくい国や地域への支援ができる
(1)で述べたように、援助した場合に、援助した国にメリットがある国と、援助しても大してメリットがない国があります。そうでない国とは、経済規模や世界への影響力が小さい国と言い換えてもいいかもしれません。
本当は、そのような国ほど援助を必要としている場合が多いのですが、残念ながら二国間援助の資金は集まりづらいです。そのため、そのような国や地域への支援は、多国間援助によって行われることが多いです。
(3)安定的で長期的な援助ができる
多国間援助は、多くの国がお金を出し合う援助なので、二国間援助に比べて予算が豊富です。また、二国間援助に比べて各国の政治情勢(ODA反対派の人が大統領になってODAの予算が減る等)の影響を受けにくくなります。そのため、安定した予算で長期的なプロジェクトに取組めます。
(4)世界規模の問題に取り組める
途上国は国ごとで様々な解決すべき課題を抱えていますが、もっと大きな視点で取組むべき課題もあります。例えば、地球温暖化や自然環境破壊、所得格差、難民、女性の人権などです。
二国間援助だと、援助される国は、自国の経済や社会の発展を重視したプロジェクトを望み、援助する国は、援助される国の利益を優先した援助を行います。それに対し、多国間援助では、国益重視の援助を行うことは少ないので、上記のような世界規模の問題にも取り組めます。
(5)二国間の依存関係を防げる
二国間援助では、ある途上国が特定の一つの国の援助に頼るという事も起きます。すると、援助を受ける国は、その国の援助に依存してしまい、自立的な成長が難しくなります。自立的な成長が難しくなると、援助する国に対して文句や反対意見を言いづらくなります。
多国間援助であれば、援助国が特定されにくいので、このような事態を避けやすくなります。
まとめ
多国間援助のメリットをまとめると以下のようになります。
- 援助する国の経済的・政治的な思惑の影響を受けにくい
- 助が届きにくい国や地域への支援ができる
- 安定的で長期的な援助ができる
- 界規模の問題に取り組める
- 二国間の依存関係を防げる
多国間援助のメリットについてご理解いただけたでしょうか。援助する国と援助される国の直接的な関係が少ないからこそできる援助のカタチですね。
最後までお読みいただきありがとうございました!
※二国間援助のメリットについて解説した記事はこちら。
※なぜ、援助を行う必要があるのか?援助する側とされる側の両方から解説した記事はこちら。
【4分で分かる】ODAはなぜ必要か?援助される国/援助する国のメリットは?
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参考文献:
(*1) debatewise.org, Bilateral vs Multilateral Aid
https://debatewise.org/debates/2810-bilateral-vs-multilateral-aid/